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Solitary Place

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それでも喜べるのか

老人ホームでの実習、なんとか無事に終える事ができた。
終わってしまえばあっという間の五日間。
僕はこの五日間で一体何を学んだのだろう。
何か変わったのだろうか。

老人ホームというコミュニティに、学生が一人入り込んだ。
職員さんも利用者さんもみんなやさしかったけれど
なんだか自分が異分子のような、
いてはいけない存在のような気がした。

僕は介護を勉強しているわけではないから、難しい身体介助はできない。
担当の人が丁寧な解説をつけてお年寄りの排泄介助や離床介助をしている姿を
ただ見ているだけ。
もちろん食事介助や簡単な仕事は僕もずいぶんやったし、
お年寄りとの会話は五日間で何時間したか検討もつかない。
けれど、それで職員さんが助かったかというと、
そんな感じはしない。
いつもちょっとした気まずさを感じていた。
すごく疲れた。

まあこれも社会勉強か。



ひとえに老人ホームと言っても、そこに集うお年寄りの状態は様々。
身体に障害のある人、
認知症の人、
またその両方。

長く生きれば、人は誰でも年老いる。
体力は衰え、
視力は落ち、
思考は鈍り、
髪は抜け、
醜くなる。

今はとびっきりの美人だって、
かわいいあの子だって、
年老いれば皺だらけのおばあちゃんだ。
そして死ねば腐って腐臭を放つ。

実習中、二日間痴呆棟にいた。
午前中かなり長い時間お話をしたおばあちゃんも、
午後には僕の事をすっかり忘れている。
僕は彼女の経歴も生まれた場所も家族構成も知っている。

夕方になると7歳年上のお兄さんが迎えに来るからと言って、
帰ろうとするおばあちゃん。
彼女は今年で101歳だ。


若い僕は、今は色々な事ができる。
できない事もあるけど、それでも多くの事ができる。
行きたいところに行ける。
しかしいずれ年をとり、できない事が増えていく。
そうなった時に、それでも喜べるものを見つける事ができるのだろうか。
今、それを握っているだろうか。





※何故かおばあちゃんにはモテモテでした僕。
by hiroro_special20 | 2006-01-22 23:59 | 随想

When Jesus heard what had happened, he withdrew by boat privately to a solitary place. <Matt14:13>


by hiroro_special20
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